それでは、ニュージーランド在住17年、通訳をしている<うらん>が解説いたします。
海外で通じない日本語英語・カタカナ英語
日本で日常的に使われているカタカナ英語を、海外で会話に入れてみたら、通じなかったという経験のあるかたも多いのではないでしょうか?
ではなぜ、カタカナ英語は通じないのでしょうか?
カタカナについて
カタカナは、日本語の表記に使われている音節文字のことで、現在は主に外国からインポート(輸入)された言葉に使用されています。
または、英語の斜体のように、言葉を強調するために、使用されることもあります。
カタカナ英語の音が原因で通じない
カタカナは字体が異なるだけで、ひらがなと同じ50音を持っています。
子音と母音がセットになった外国語を、カタカナで表現するさいには、抜本的な変更が加えられるため、英語に由来するはずの言葉を、英語話者が理解できない場合があります。
幾つか例えをあげてみますね。
エネルギー = Energy /ˈɛnədʒi/ エナジーに近い発音
アルコール = alcohol /ˈalkəhɒl/ アルカホーに近い発音
ビタミン = vitamin /ˈvɪtəmɪn,ˈvʌɪtəmɪn/ ヴァイタミンに近い発音
マクドナルド = McDonald (UK) IPA: /məkˈdɒnəld/; (US) IPA: /məkˈdɑnəld/ メクドナルドに近い発音
グーグル = Google /ˈɡuːɡl/ グーゴールに近い発音
RやLの発音、Vやthの発音、またアクセントによる音の強弱など、日本語のカタカナで話すと失われる部分が大きすぎるため、海外ではなかなか通じません。
カタカナ英単語の語源が英語ではない
カタカナで表現される借用語または外来語の語源は、英語だけではありません。
外来語の幾つかは、ポルトガルとの初期日欧交流により、ポルトガル語から派生しています。
江戸時代の鎖国政策によるオランダとの交流により、オランダ語が起源の言葉もあります。
また明治時代の日本の近代化のさい、フランスとドイツの文化的および科学的卓越性により、両国から取り入れられた言葉もあります。
幾つか例を挙げてみましょう。
バカンス (語源:フランス語)=ホリデー(英語)
アンケート (語源:フランス語)=クエスチョネア/サーベイ(英語)
アルバイト (語源:ドイツ語)=パートタイム・ジョブ(英語)
ビロード (語源:ポルトガル語) =ベルベット(英語)
ゴム (語源:オランダ語) =ラバー(英語)
このように、語源が英語ではないカタカナの外来語を、英語であると勘違いをして話しても、通じることはありません。
日本語化されてしまったことが原因で通じない
カタカナ英語の単語が、正しい英語ではない場合もありますし、表現するはずの英語の単語と異なる意味を持つ場合もあります。
原語で同じように使用されていないカタカナ英語の多くは、元の外国語と類似しているにもかかわらず、それらの話者には容易には理解されません。
例えば、ファミコン(「ファミリーコンピューター」から)
実際にはニンテンドーエンターテイメントシステムを指します。
パソコン(「パーソナルコンピューター」から)
フライド・ポテト (ジャガイモのフライ)英語ではフレンチ・フライ、チップス
サラリーマン (サラリーで働く人)英語ではカンパニー・エンプロイー
カンニング (「カニング」から) 英語ではチーター
まとめ
日本に溢れているカタカナ英語。
このカタカナ英語を、海外で使ってもなかなか通じることがありません。
理由は英語をカタカナに直す時点で、もとの英単語の発音、アクセントが失われてしまうこと。
またカタカナの外来語の語源は、実は英語だけではないこと。
そしてカタカナ英語が「日本語化された造語」である場合、などがあげられます。
カタカナ英語は、元の英単語のことは完全に忘れて、完全に別の日本語の単語として扱う方が無難のようです。
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