ニュージーランドの羊の歴史|数と種類は?

ニュージーランドの羊

こちらの記事を読んでくださいますとニュージーランドの羊についてより深くご理解いただけます。

羊の国と呼ばれるニュージーランド。

現在はどのくらい羊が飼育されているのでしょうか?

それでは解説いたします。

目次

ニュージーランドの羊の歴史

ニュージーランドの羊は1773年5月20日にキャプテンクックが最初に持ち込みました。

1850年代から1860年代にかけて羊の数が急速に増加しましたが、それは自然増加ではなく、新たに羊が海外から持ち込まれたために頭数が増加しています。

1864年だけでも13,000頭の羊がカンタベリーにオーストラリアから持ち込まれました。

1856年から1987年までの期間は羊の需要が非常に多く、結果として国の経済的繁栄をもたらしました。

1882年には船での輸送に有利な冷凍技術が開発され、英国へたくさんの羊肉が輸出されました。

19世紀後半のニュージーランドの主な農産物輸出商品は羊毛で、1960年代後半でも全ての輸出収入の3分の1を占めていました。

現在羊毛は、化学繊維などにとって代わられ、羊肉の需要も減少し、酪農農家の増加とともに、飼育されている羊の数は減少の一途をたどっています。

130年間、羊の牧畜は国内で最も重要な産業でしたが、1987年に酪農に追い抜かれました。

国内の羊と牛の牧場は16,000を数え、世界最大の子羊の輸出国となっています。

あわせて読みたい
ニュージーランドの国鳥キウイバードはどんな鳥? 〇ニュージーランド国鳥キウイバードの特徴 〇ニュージーランドにとっての国鳥キウイバードの文化的重要性 〇キウイバードがニュージーランドの国鳥に選ばれた理由 この...

ニュージーランドの羊の種類

現在ニュージーランドでは約20種類の羊が飼育されています。

中でも有名な品種は、メリノとロムニーです。

メリノは羊毛で非常に高く評価されており、経済的に影響力のある羊の品種の1つです。

この品種はもともと12世紀頃にスペイン南西部のエストレマドゥーラで生まれ改良されました。

その後ニュージーランドとオーストラリアでさらに洗練され、現在のメリノが誕生します。

ロムニーは、以前はロムニーマーシュの羊と呼ばれていたイギリス生まれのロングウールの品種です。

ロムニーは現在ニュージーランドの羊全体の66%を占めており、その羊毛はカーペットなどに利用されています。

ペレンデール種の羊はあらゆる天候に適応可能で良質の肉と羊毛を提供します。

コープワース種の羊は手入れの行き届いた牧場で飼育され、高価な肉と羊毛をとることができます。

あわせて読みたい
ニュージーランドの飛べない鳥|ウェカ・カカポなど 〇ニュージーランドの飛べない鳥の種類 〇ニュージーランドの飛べない鳥の生態系 〇ニュージーランドの飛べない鳥の保護活動 こちらの記事を読んでくださいますと、ニュ...

ニュージーランドの羊の数

ニュージーランドの羊の個体数は、1982年に7,000万頭にのぼり、ピークに達しました。

その後は、乳製品産業の人気の高まりとともに、急激に羊の数は減少していきました。

1982年のピーク時には、ニュージーランド国民1人あたりに対して22頭の羊がいました。

1987年には政府の補助金のカットも影響し、羊の数は約3,900万頭に減少しました。

2007年の時点でも羊の数は約3,900万頭で、国内人口と比べると、1人あたりの羊の数は10頭でした。(2006年のニュージーランド全体の人口は4027,947人)

2015年6月の時点では、羊の数は2,910万頭で、2016年には2,760万頭に減少しました。

2018年の羊の数は2,730万頭となっており、ニュージーランドの国民1人あたりに5.6頭の羊がいる計算となります。

しかしニュージーランドはいまだに、単位面積あたりの羊の密度が世界で最も高い国です。

ニュージーランドに羊が多い理由

ニュージーランドに羊が多い理由は、気候条件と歴史的な要因に起因しています。以下にその主要な理由を説明します。

  1. 温暖な気候: ニュージーランドは比較的温暖な気候帯に位置しており、四季がはっきりと分かれることが少ないため、羊が年間を通じて快適に生息できます。寒冷地域に比べて冷暖房が必要ないため、飼育コストが低く済みます。
     
  2. 豊かな牧草地: ニュージーランドは広大な牧草地が広がっており、豊富な牧草が羊の餌として利用できます。これにより、羊が健康に成長し、高品質な羊毛と肉を生産することが可能です。
     
  3. ニュージーランドの歴史: ニュージーランドにはイギリスからの移民が多く、19世紀には羊の飼育が主要な産業として発展しました。当時、羊毛は高く評価され、国内経済の中心的な要素となりました。この歴史的な背景から、羊の飼育が今日まで根付いています。
     
  4. 品種改良: ニュージーランドでは長い間、羊の品種改良が行われてきました。これにより、高品質な羊毛や肉を生産できる優れた羊の品種が育成され、飼育効率が向上しました。
     
  5. 輸出市場: ニュージーランドの羊肉や羊毛は国際市場で高い評価を受けており、多くの国に輸出されています。輸出市場の存在は、農業者にとって収益を安定させ、羊の飼育を促進する要因となっています。
     

これらの要因が組み合わさって、ニュージーランドが羊の飼育に適した環境であること、歴史的に羊飼育が盛んであることが、なぜこの国に羊が多い理由の一因となっています。

ニュージーランドの牛と羊の分布

ニュージーランドの牛と羊の分布について説明いたします。ニュージーランドでは、牛と羊は広く飼育されており、それぞれ異なる地域や条件で飼育されています。

1)牛の分布:

  • 北島: 北島は比較的温暖で湿潤な気候を持ち、豊かな牧草地が広がっています。この地域では主に乳牛が飼育され、乳製品(ミルク、チーズなど)の生産が盛んです。特にウェリントン周辺やワイカト地域などが乳牛飼育の中心地となっています。
     
  • 南島: 南島は多様な気候条件を持っており、山岳地帯や平野部が存在します。南島では肉用牛が飼育され、牛肉の生産が主要な産業の一つです。オタゴ地方やカンタベリー地方などが肉用牛飼育の主要地域です。
     

2)羊の分布:

  • 全国的な分布: 羊はニュージーランド全土に広く分布しています。北島と南島の両方で飼育され、牧草地が多いため、羊が快適に生息できる環境が整っています。
     
  • 南島の高地: 南島の高地や山岳地帯では、特に多くの羊が飼育されています。これらの地域では豊かな牧草地があり、羊毛生産が盛んです。高品質な羊毛を生産するために、適した品種が飼育されています。
     

総じて、ニュージーランドは牛と羊の飼育に適した多様な地理的条件を持つため、これらの家畜は国内各地で広く飼育されています。北島と南島それぞれが異なる農業特性を持っており、乳製品や牛肉、羊毛などの生産が地域ごとに異なる役割を果たしています。

あわせて読みたい
ニュージーランドのまとめ ニュージーランドがどこにあるのか、知ってますか? 最近だと、ラグビーのオールブラックスで知られるようになりました。 他にも、実は意外になじみのあるものがありま...

まとめ

1987年までの約130年間、ニュージーランドの経済を支えてきた羊の産業ですが、1982年に7,000万頭までに個体数が増えたあと、減少の一途を辿っていきました。

ニュージーランドの人口に対する羊の数の比率は、ピーク時には国民1人あたりに22頭でしたが、2018年には国民1人あがりに5.6頭となっています。

関連記事一覧

  1. 海外旅行
  2. ニュージーランドのまとめ
  3. ニュージーランドの人口は2019年どのくらい?
  4. ニュージーランドの飛べない鳥|ウェカ・カカポなど
  5. ニュージーランドのマオリ族はなぜハカダンスを踊るのか?
  6. ニュージーランドワインの有名な産地は?
  7. ニュージーランドの国鳥キウイバードはどんな鳥?
  8. ニュージーランドの時差はサマータイムで変わる
  9. ニュージーランドの羊の歴史|数と種類は? ★当記事
  10. ニュージーランドのペンギンに会える季節と場所は?
  11. ニュージーランドの各大学情報
  12. ニュージーランドの女性の社会進出
  13. ニュージーランドの森に住む固有の鳥
  14. ニュージーランド出身の有名人|スポーツ・登山家・政治家
よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次