ニュージーランドの羊が減少した理由と7000万頭からの推移

ニュージーランドン 羊 減った理由

「羊の国」として知られるニュージーランドでは、1982年に約7,030万頭いた羊が、その後大きく減少しました。

ニュージーランド統計局によると、2025年6月時点の羊は約2,330万頭です。ピーク時と比べると約4,700万頭減り、現在はおよそ3分の1の規模になっています。

減少の背景には、1980年代の農業補助制度の廃止、羊毛需要の低下、酪農や肉牛への転換、森林造成などによる土地利用の変化があります。

この記事では、ニュージーランドの羊の頭数推移と、約7,000万頭から減少した理由、現在の羊産業の状況を解説します。

目次

ニュージーランドの羊の頭数推移

ニュージーランドの羊は、1982年6月に約7,030万頭となり、ピークを迎えました。

その後は長期的な減少が続いています。

・1982年:約7,030万頭
・1998年:約4,620万頭
・2022年:約2,510万頭
・2024年:約2,360万頭
・2025年:約2,330万頭

1982年から2025年までに、羊は約4,700万頭減少しました。割合では約67%の減少となり、現在の頭数はピーク時のおよそ3分の1です。

2025年6月時点の人口は約532万人であるため、単純計算では国民1人あたり約4.4頭の羊がいることになります。

ニュージーランドの羊が減少した主な理由

1.農業補助制度が廃止された

1980年代半ば、ニュージーランドでは経済改革の一環として、羊肉や羊毛に対する生産奨励金や価格保証などが廃止されました。

補助制度に支えられていた羊農家は、採算性を重視した経営への転換を迫られます。経営を続けられない農家や、羊以外の農業へ移る農家も増え、羊の頭数が減少する大きな転機となりました。

2.羊毛の需要と価格が低迷した

羊毛は、化学繊維やほかの床材との競争によって需要が低下しました。

特にカーペットなどに使われる太い羊毛は価格が低迷し、毛刈り費用が羊毛の販売収入を上回る場合もあります。

羊毛だけでは十分な収益を得にくくなったことが、羊の飼育頭数を減らす要因になっています。

3.酪農や肉牛への転換が進んだ

羊の放牧地の一部は、より高い収益を期待できる酪農へ転換されました。

1985年から2007年にかけて、搾乳用の乳牛は約220万頭から約400万頭へ増加しています。

近年では、収益性や労働負担を考え、羊から肉牛などへ飼育する家畜を変更する動きも見られます。

4.農地が森林などへ転換された

羊や肉牛に使われていた土地は、酪農、林業、自然保護、住宅開発などへ転換されてきました。

近年は、炭素クレジットを目的とした森林造成や、農場内への植林も羊の飼育面積を減らす要因になっています。

5.干ばつや牧草の生育不良も影響している

近年の減少には、長期的な産業構造の変化だけでなく、干ばつや牧草の生育不良も影響しています。

2025年の調査では、繁殖用の雌羊の減少、羊毛価格の低迷、肉牛への転換、森林への土地利用変更などが頭数減少の要因として挙げられています。

羊の頭数が減っても生産効率は向上している

ニュージーランドの羊産業は、単に頭数を増やす生産から、少ない頭数で効率よく羊肉や羊毛を生産する方向へ変化してきました。

品種改良、飼育管理、繁殖率、子羊の成長などが改善され、羊の頭数が減少しても、羊肉の生産量が同じ割合で減少したわけではありません。

例えば、1993年から2005年までは、羊の総数が減少する一方、羊肉の輸出量は比較的安定していました。

ただし、近年も羊の頭数や繁殖用の雌羊は減少しているため、今後も同じ生産量を維持できるとは限りません。

高付加価値の羊毛生産も進められている

一般的な太い羊毛の価格が低迷する一方、衣料品に使われる細い羊毛など、高付加価値商品の開発も進められています。

ただし、メリノウールの成長だけで、ニュージーランド全体の羊毛産業の低迷が解消されたわけではありません。

まとめ:羊の減少は農業と土地利用の変化によるもの

ニュージーランドの羊は、1982年の約7,030万頭をピークに減少し、2025年6月時点では約2,330万頭になっています。

減少した主な理由は、1980年代の農業補助制度の廃止、羊毛需要と価格の低下、酪農や肉牛への転換、森林造成などによる土地利用の変化です。

近年では、干ばつや牧草の生育不良も頭数の減少に影響しています。

羊の頭数はピーク時のおよそ3分の1になりましたが、品種改良や飼育技術の向上により、生産効率は改善してきました。

ニュージーランドは「羊の国」でなくなったわけではありませんが、羊を大量に飼育する農業から、収益性と生産効率を重視する農業へ変化しています。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!
目次