「なぜニュージーランドには羊が多いの?」「現在は何頭くらいいる?」と疑問に感じていませんか。
ニュージーランドで羊の飼育が広がった背景には、牧草を育てやすい気候と広い放牧地、イギリス向けの羊毛・羊肉輸出の発展があります。
羊の数は1982年に約7,000万頭でピークを迎えましたが、その後は土地利用の変化や農業政策、酪農への転換などによって減少しました。2025年6月時点では約2,330万頭です。
この記事では、ニュージーランドに羊が多い理由、羊産業の歴史、現在の頭数と減少した理由、代表的な羊の種類を解説します。
ニュージーランドに羊が多い理由
ニュージーランドに羊が多い理由は、羊を放牧しやすい自然環境と、羊毛・羊肉の輸出産業が長く発展してきたためです。
牧草を育てやすい気候
ニュージーランドには、温暖で降水量のある地域が多く、牧草を育てやすい環境があります。
羊を屋外の牧草地で飼育しやすく、大規模な放牧が広がりました。
広い牧草地がある
ヨーロッパからの入植後、平地や丘陵地が牧草地として利用され、羊の飼育地域が拡大しました。
牛の放牧や農作物の栽培に向きにくい丘陵地でも、羊を飼育できることが発展につながりました。
羊毛の輸出産業が発展した
19世紀には、イギリス向けの羊毛がニュージーランドの重要な輸出品になりました。
羊毛は1856年から1967年までの112年間のうち、89年間にわたって同国で最も価値の高い輸出品でした。
冷凍羊肉を輸出できるようになった
1882年にニュージーランドからイギリスへ冷凍肉の輸送が成功し、羊は羊毛だけでなく食肉用としても重要になりました。
羊飼育の技術が蓄積された
長年の品種改良や放牧技術の発達によって、地域の気候や地形、羊毛・食肉生産の目的に合う羊が飼育されてきました。
ニュージーランドの羊の歴史
1773年にキャプテン・クックが羊を持ち込む
キャプテン・クックは1773年と1777年の航海で、ニュージーランドへ羊を持ち込みました。
ただし、これらの羊は定着しなかったため、現在の羊産業がそのまま始まったわけではありません。
19世紀に本格的な羊飼育が始まる
ヨーロッパからの入植が進むと、オーストラリアなどから羊が導入され、1840年代以降に大規模な羊飼育が広がりました。
当初は主に羊毛を生産し、イギリスへ輸出していました。
1882年に冷凍羊肉の輸出が始まる
1882年、冷凍した羊肉をニュージーランドからイギリスへ運ぶことに成功しました。
これにより、羊毛だけでなく羊肉も輸出できるようになり、羊産業がさらに発展しました。
20世紀にニュージーランドの主要産業となる
羊産業は長くニュージーランド経済を支え、羊の数は1982年に約7,000万頭でピークを迎えました。
その後は農業政策や土地利用が変化し、羊の数は減少しています。
ニュージーランドの羊の数
ニュージーランドの羊は、1982年に約7,000万頭でピークを迎えました。
その後は減少が続き、2025年6月時点では約2,330万頭です。2024年から約1%減少しました。
2025年6月時点の人口は約532万人だったため、単純計算では国民1人あたり約4.4頭の羊がいることになります。
ピーク時より大幅に減っていますが、現在も人の数を上回る羊が飼育されています。
ニュージーランドの羊が減った理由
羊から酪農などへ転換した
羊より収益を得やすい地域では、牧草地が乳牛の飼育などへ転換されました。
農業補助金が廃止された
1980年代の農業政策改革によって補助制度が縮小・廃止され、羊の飼育頭数を維持する経済的なメリットが小さくなりました。
土地利用が変化した
牧草地の一部は、酪農、林業、園芸作物、住宅開発など、別の用途へ変化しました。
少ない頭数でも生産性が上がった
品種改良や飼育技術の向上により、以前より少ない母羊から多くの子羊や生産物を得られるようになりました。
羊の数が減ったからといって、羊産業そのものがなくなったわけではありません。
ニュージーランドで飼育されている羊の種類
ニュージーランドでは、羊毛用、食肉用、両方を目的とするさまざまな品種が飼育されています。
ロムニー
イギリス原産の品種で、湿気のある地域にも比較的適応しやすく、羊毛と食肉の両方に利用されます。
ニュージーランドの平地や丘陵地で広く飼育されてきた代表的な品種です。
メリノ
細く柔らかい高品質な羊毛で知られる品種です。
ニュージーランドでは、主に南島の乾燥した高地で飼育されています。
コリデール
メリノとイギリス系品種を交配して作られた、ニュージーランド生まれの品種です。
羊毛と食肉の両方を生産する目的で飼育されます。
コープワース
ロムニーとボーダー・レスターを基礎に、ニュージーランドで作られた品種です。
繁殖力や子育て能力を重視した品種として飼育されています。
ペレンデール
ロムニーとシェビオットを基礎に作られたニュージーランド原産の品種です。
丘陵地などの環境に適応しやすく、羊毛と食肉の両方に利用されます。
まとめ:ニュージーランドの羊は現在も人口より多い
ニュージーランドに羊が多い理由は、牧草を育てやすい気候、広い放牧地、羊毛と羊肉の輸出産業が発展した歴史にあります。
キャプテン・クックは1773年と1777年に羊を持ち込みましたが、定着はせず、本格的な羊飼育は19世紀に広がりました。
羊の数は1982年に約7,000万頭でピークを迎え、2025年6月時点では約2,330万頭です。
頭数が減った背景には、農業補助金の廃止、酪農などへの転換、土地利用の変化、生産性の向上があります。
現在は、ロムニー、メリノ、コリデール、コープワース、ペレンデールなど、地域や生産目的に合った品種が飼育されています。
